イーロン・マスク テスラ

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こんにちは。デザインこねこの、独立・創業・起業に役立つブログです。日々更新していますので、よろしければフォローお願いします。

GWの間は題材を広げ、私が日頃調べてみたかったことを選んで書いています。今日もお時間ありましたら、お付き合いください。

今日もイーロン・マスクさんについてです。今回は日本でも聞き馴染みのある方が多いのではないかと思う「テスラ」社について書いてみたいと思います。

本編の前に、最初に少し意外だった話をご紹介します。

昨日の「スペースX」社を「起業した3社目」と紹介したので、本来今日のブログでは「テスラ」社を4社目と紹介するつもりだったのですが、実はテスラはマスク氏が創業した会社ではありませんでした。

しかし、マスク氏は創業時の非常に早い時期2004年4月に第一回シリーズA投資ラウンドを主導し「テスラモーターズ」は750万米ドルを調達し、取締役会長に就任しています。その後、2009年に「テスラモーターズの創設者だと偽っている」として訴訟を起こされますが和解し、実際の創業者である2名に加えてマスクら3名を加えた5名を共同創設者として認定することで決着しています。ちなみに、マスク氏は2008年10月にCEOに就任しました。

では、さっそくその創業からみていきましょう

「テスラ(Tesla, Inc.)」は2003年7月にマーティン・エバーハードとマーク・ターペニングという二人のエンジニアによって設立されました。当初の社名は「テスラモーターズ」でしたが、2017年に「テスラ」と社名変更しました。

「テスラ」は発明家ニコラ・テスラに敬意を表してつけられたものです。テスラはエジソンとライバル関係にあった天才肌の発明家で様々な功績を残しています。ニコラ・テスラのことを知るとテスラ社の性格の側面を理解するのにわかりやすいとは思うのですが、それだけで文字数がオーバーしてしまいそうので今日は割愛します。

さて、テスラが取り上げられる際には、本来「オートパイロット」など車の性能面が語られることが多いと思うのですが、今回は経営者であるマスク氏からの派生ということで、「経営」という面から調べてみました。

2020年、テスラは創設からわずか17年でトヨタを抜いて世界ナンバー1の自動車メーカーになりました。今や、その時価総額はトヨタを圧倒し、2022年1月18日時点では118兆7000億円にも達しています。この時点でトヨタも約一年前より時価総額を2倍に伸ばし40兆円を超えたのですが、テスラはその4倍です。

なぜマスク氏はテスラ、スペースX共にこれだけ短期間に大成功を収めることができたのか、トヨタと比較した面白い相違点が2つありました。

まず、「ギャランティ型」と「ベストエフォート型」の違いです。

ギャランティ型というのは、あらゆる状況を想定し、性能テストを繰り返し、時間とコストをかけ、不良品が出ないように万全を期す方法です。従来、自動車のようなハードウエア製品では、この手法で品質や性能の保証をしてきました。もちろん、トヨタもこの手法を採用しています。

しかし、マスク氏がテスラで採用しているのは、ベストエフォート型と言われる方法です。シリコンバレーを中心としたソフトウエア製品の世界の考え方で、プログラムのバグはあって当たり前、不具合が起きることも織り込んで、結果を保証しないというものです。皆さんも、よくパソコンがフリーズして作業していたものが消えてしまっても、誰にも責任を問えないという経験をしたことがあると思います。

最短コースを軽装備で駆け抜けるようなベストエフォート型は、導入が格段にスピーディで、コストも大幅に低減できます。また、失敗ありきの挑戦気質は、革命的なテクノロジーを生みやすくします。

しかし、万が一の問題が起きる確率は極めて高くなるため、保守的な自動車産業でのベストエフォートはこれまで考えることすらできない手法でした。

テスラでもスペースXでもこのベストエフォート型で挑戦と失敗と検証を高速で繰り返し、失敗の度に会社に向けられる辛辣な批判はマスク氏が一手に引き受けていました。

会社はコスト減と今までの業界の常識を覆す開発スピードを手に入れ、その結果これまで誰もなし得なかった革新的なアイデアを次々と生み出し、今のポジションを築いたのです。

もう一つは、「ギガとナノ」と対比されるものです。

トヨタは、最近「テーラード・ウェルデッド・ブランク」(TWB)と呼ばれるナノ製法を採用しましたが、これは洋服の仕立て屋のように車体を部分ごとに必要な数値と強度で生産し、一つ一つ最適の効率を達成するという方式だそうです。自動化は進めるが、熟練技術者が絶えず生産方式を改善するトヨタの伝統を守っています。

一方テスラは、「ギガキャスティング」と呼ばれる大型プレスで最大限の自動化を進めました。数十・数百の部品をつないでつくった車体を一体成型で作り出し、時間、費用、重量を節減するという製法です。

マスク氏は「究極的にはプレス機がおもちゃの車を一度に作り出すように実際の大きさの車も作っていく」と話しているそうです。

ただし、テスラのギガ製法はものすごく革新的ですが、事故が起きれば巨額の修理費用がかかるという弱点もあるそうです。しかし、それでも最近の世界の自動車業界のロールモデルは断然テスラ方式なのだそうです。

次に、テスラのコアテクノロジーについてです。

テスラは2022年3月にドイツのベルリン、4月にアメリカのテキサスに「ギガファクトリー」を開所しました。

「ギガファクトリー」は、EV用バッテリーの生産工場です。EVのコストを下げるには、バッテリー製造のコスト削減が一番の近道なのと、そのバッテリーマネジメントが重要になってきます。

テスラはEV車用のバッテリー開発から、高度なバッテリーマネジメントシステムを生み出しました。

実は、このバッテリーマネジメントシステムがテスラのコアテクノロジーとなり、2017年に総合エネルギー企業としてブランドとしての確立を目指し「テスラ・モーターズ」から「テスラ」に社名を変更したのです。

次は、テスラの新規参入事業についてです。

みなさん、テスラが2021年8月19日に「人型ロボット」の開発に参入すると発表したことをご存知でしょうか。

マスク氏は「基本的にわれわれがクルマで実現していることを考えると、テスラは間違いなく世界最大のロボティクス企業だといえる。テスラのクルマは車輪のついた半知性型ロボットのようなものだからだ。完全な自動運転コンピュータは基本的にクルマに搭載された推論エンジンであり、これは明らかに進化し続けている。さまざまなニューラルネットが世界を認識し、ナビゲートする方法を理解している。これをヒューマノイド(人型ロボット)の形にするのは理にかなっていると考えた」と述べているそうです。

Tesla Botのプロトタイプは2022年に公開予定で、身長は5フィート8インチ(約173cm)、体重は125ポンド(約57kg)になると説明しています。

ここまで駆け足で私なりのトピックをまとめてみましたが、いかがでしたでしょうか。長くなりましたので、そろそろ終わりたいと思います。

最後に、今回テスラ社を調べていた中で私が一番マスク氏の人間性を感じたエピソードは、「テスラは自社の自動運転車が事故を起こした場合に責任を負うのか?」と問われた際のことです。

マスク氏は「個人保険の責任になると思う」と答え、続けて「自動運転車の事故をめぐる考え方は、ビル内のエレベーターに閉じ込められるケースとよく似ている。エレベーター製造会社のオーチス・エレベーターは、世界中にあるすべてのエレベーターの責任を負っているだろうか?そうではない」と主張したそうです。

他社はこのマスク氏の発言の前から自社の自動運転車が事故を起こした場合、その全責任を負うと表明しています。

マスク氏のこの発言は、既成概念にとらわれないスマートさを感じさせます。

参考:テスラ公式サイト
参考:YAHOOニュース朝鮮日報Online「トヨタ951万台VSテスラ106万台…老将は死なず」
参考:Redshift「ギガファクトリーの建設を脅威的なスピードで進める方法とは」
参考:IT mediaビジネスONLiNE「ホリエモンが見通す『日本の自動車産業の未来』  テスラが持つ真のコアテクノロジーとは」
参考:Wikipedia「テスラ」
参考:自動運転LAB.「イーロン・マスク氏がテスラの創業者ではないことが判明 自動運転AIチップの開発や生産順調なモデル3で一層貢献」
参考:DIAMOND online「イーロン・マスクが自動車とロケット業界に持ち込んだ『禁断の手法』とは?」
参考:くるまのニュース「トヨタ初の時価総額「40兆円超!」 わずか1年で倍に! 株価グラフに見る上昇の訳とは」
参考:MONOist「テスラが人型ロボットに参入、「クルマで成し得たことを人型へ」とマスクCEO」

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