メンバーシップ型かジョブ型か、それが問題だ

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先日、「2040年 『仕事とキャリア』年表」という本を読みました。サラリーマン向けに2040年までのキャリア形成について、社会変遷と推測に合わせた様々なアドバイスが書かれていた本となのですが、読んでみて、雇用する側としては逆にアメリカ式の「ジョブ型雇用」を理解するのにとてもいい本だなと思いました。

\参考!/ こねこの本棚
【ジョブ型雇用でおすすめしたい本】

本ブログのきっかけになった本です。ぜひ読んでみてください。

サブタイトルは

日本の「雇用制度」は崩壊した。アメリカの「ジョブ型雇用」に備えよ!

とあります。すでに雇用してしまっている側としては、「崩壊した」と言われても…となってしまいますよね。そこで、私が考えてみたことを書いていきたいと思います。

日本の雇用はメンバーシップ型

まず、日本の雇用は「メンバーシップ型雇用」と言われるそうです。

終身雇用や、年功序列といった「保証」とも呼べる制度がある雇用形態です。縦社会で、先輩後輩の関係が強く、責任もレポートラインに沿ってその重さが変わり、それに比例して賃金が変わる印象です。

組織の肩書きや階級である程度の金額が自動的に決まっているため、とりあえず年功序列で順番が回ってくるまで我慢するため、同じ会社に長く勤めるのが特徴です。

日本人は、はじめに「人ありき」

そのため、メンバーシップ型の特徴は、はじめに「人ありき」となることだそうです。

確かに、日本では理念や企業文化、社風に合うかなどを気にすることがとても多いと思います。〇〇大卒が多いという会社もあったりというのは、大学のカラーのようなものが、企業にもあるからかもしれません。

つまり、メンバーシップ型は「一生の付き合いになるのだから、気の合うやつと働きたい」という仲間意識、もっと言えば家族的な絆までもっている企業が多いのかもしれません。あまり組織に属したことがないので曖昧な書き方をしていますが、私も昭和生まれですのでこの組織形態は見慣れたものです。

すでに崩壊している、メンバーシップ

しかし、この本ではこの「メンバーシップ型雇用」は崩壊したと断言しています。

たしかに、終身雇用や年功序列の一部として機能していた「新卒一括採用」を経団連が見直したことで、メンバーシップ型がすでに崩壊したのは明らかだと思います。

また、変化のスピードが格段に早くなった現代社会で、この会社なら一生安泰という企業はなくなっという実感を持っている人が少なくないのと、人の寿命が延び「人生100年時代」に突入したことで、定年退職という強制解雇システム後の人生が、現役だった時間と等しく残ってしまうという問題もあると思います。

ジョブ型は天国と地獄?

アメリカの雇用スタイルは「ジョブ型」と呼ばれています。

ジョブ型雇用では、「職務記述書」が用いられ、そこに書かれているジョブ(職務)で行う内容が明確に定義づけられています。また、そのジョブに就くために必要な学歴、経歴なども記述されています。

職務を明確にするという点では、日本のハローワークの求人票も一緒ですが、実際の日本現場では色々と異動して社内の仕事を幅広く経験し、ジェネラリストに育つことが良しとされています。

それは、そういった人間が管理職としてふさわしいため、出世に必要と思われているからです。これは、日本で管理職に求めるているものが「結果」よりも「社内調整力」にある傾向が強いからのように思います。

「中間管理職」という言葉が管理職の代名詞のようになっていたことがあるくらい、これは和を重んずる日本人らしい感覚なのだと思います。

話が逸れました。本来「管理職」はKPIを達成させるための現場リーダーです。「ジョブ型雇用」では社員は「3つの階級」に分けられ、ピラミッド型の3層構造になっています。

一番上は、上級職員と呼ばれ、経営、企画、管理等の職につき、二番目に位置する中級職員に命令を下す人たちです。

日本でいう管理職にあたると思いますが、彼らに求められるのは、時間を掛ければ成果が出るという類のものではありません。ですので、労働時間で管理されることはなく、残業代も出ません。

給与は月給制や年俸制で、雇用契約を結ぶ時に上司と交渉して決まります。上級職員は将来の幹部候補であり、上昇志向が強く、大変よく働きます。

先ほど、ジョブ型は職務が決まっていると言いましたが、上級職員は幅の狭いジョブに縛り付けられることはなく、いろいろな部署を経験するのでジェネラリストに近いところがあるそうです。この部分では、日本のメンバーシップ型の管理職の価値観と近いところが興味深いところです。

上級職員は、会社から高いパフォーマンスが求められため必死で働きますが、思うような結果が出なければ、すぐに転職しています。

ここも、最近の日本の新卒採用者が3年以内に会社を見限って退職する割合が*63.2%(平成30年)と高まっていることに似ているように感じ、おもしろいところです。

ただし、日本の新卒採用者の早期離職の場合にはコストを多額の採用活動と時間と手厚い労力をかけたOJTの後にやめてしまうのですから、企業はたまったものではありません。そうすると経験者を取るようになり、日本でも自然とジョブ型雇用へと移行していくと思います。ジョブ型になると若者の就職が減るという理由はこういったところにあります。また話が逸れました。

ジョブ型の上級職員は、自らの創意工夫で仕事を進めていきますので、会社に対する貢献度に大きな差が出くるため、査定においても大きな差がつきます。人によっては超高額な報酬を手にする人が出てくるのがこの層です。

2番目が、中級職員です。事務職員や中級の技術者等、実務的な職務を行なう人々です。

彼らは、3番目の現場労働者とは違い、肉体労働をすることはないのですが、上級職員から命じられた定型の職務をこなすだけです。すなわち頭を使った肉体労働です。

給与は残業代込の月給制が多く、決められた職務を済ませて定時に退社するのが普通ということで、したがって中級職員が同じ会社の中で上級職員に上がるのは大変難しい。

そこでどうするかというと、2、3年中級職をやりながら夜間MBAコースにかようなどして上級職へのパスポートになる「学歴」(職務記述書ででてきましたね)を手に入れるそうです。

三番目が、ブルーカラー労働者。時間制で働き、給与は担当するジョブによって決まっている日給や週給をもらう。

中級職員同様、査定で大きな差をつけられることはなく、またコモディティと呼ばれる代替可能なポジションであることが多いため、職を失いやすい不安定な雇用状態であることも特徴です。

つまり、ジョブ型の場合、ブルカラーでは査定による昇級どころか、何かあれば明日の生活も危ない。

中級職は比較的働く人に優しい印象だが、そのままでは査定による昇級は見込めない。

上級職は給与は高いが激務であり、がんばってオーナーや、パートナーを目指す。

ここから見えてくるのは、ジョブ型というのは企業成長に都合のいい雇用形態ということであるということです。だが、働いている人はあまり幸せそうじゃないな、と個人的には思ってしまった。

*参照:厚生労働省・平成30年若年者雇用実態調査の概況

ジョブ型とメンバーシップ型の合わせ技

今は食洗機という破壊的イノベーションのせいで、「皿洗いのバイト」というものは淘汰されてしまいましたが、あれはまさしくジョブ型の3番目の労働でした。

しかし、メンバーシップ型の社会では皿洗いから出世した物語は比較的多いと思います。愛社精神と、野心を持っている後継者に向いた人です。

能力を即評価に変えて有益な人間を引き立てていくのはとても有益です。実体のない評価と言える年功序列や、強制解雇を待つ終身雇用は廃止すれば、パートナーシップ型では会社を守る愛社精神を持った野心家が育つ可能性があります。

また、育児や介護での離職の問題はジョブ型で乗り切ります。

決められた職務で定時であがる仕事をお願いし、資格や学歴などの学び直しをきちんと評価すれば復帰に有利に運ぶため進んで能力をあげて戻ってきてくれるかもしれません。

学びなおしと評価に裏打ちされた現場復帰は、本人にとっても喜びが大きいに違いありません。

まとめ

株式会社ほぼにちの糸井さんが2021年8月期の事業報告で株主向けに話した中の一説に

1人の人材を採るということは、1つの工場を作るのと同じようなことです。「人がものを作る」ということが、僕らの会社の仕事です。すべての人が活躍できる場を作り、どのような人に入ってもらうかということが、事業の最も根幹のところにあります。その意味で、すべての人が活躍できる場を作り、どのような人に入ってもらうかということが、事業の最も根幹のところにあります。

MINKABU:ほぼ日、業績予想を上回る売上・当期純利益で増収増益 糸井氏、枠を超えた新しい学び「ほぼ日の學校」を語る 配信元:ログミーファイナンス

と言っています。勝手にお借りして申し訳ないのですが、これは私が経営者としてめざす「人と仕事の関係性」になりました。

これからは、メンバーシップ(人)型でも、ジョブ(仕事)型でもない、それぞれの会社の「型」を見つける時代になるのではないでしょうか。

そのためにも、ぜひ本書で日本社会とジョブ型思考の展望を読まれてみてはいかがでしょうか。

こねこの本棚

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長嶺俊也 デザインこねこ株式会社取締役/クリエイティブディレクター/LOBBY ODAWARA オーナー兼ディレクター/神奈川県商工会連合会小規模支援強化事業コーディネーター