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今日はWeb3でよく聞く「DAO」(ダオ:Decentralized Autonomous Organization=自律分散組織)について整理したいと思います。
というのも、きのう私が関わっている非営利の任意団体の事務局会議に参加したのですが、その議論の内容的に直感的に「DAOの仕組みを応用できないかな?」と、思ったからです。
特に、参加者のモチベーションや、資金捻出の方法などについては、DAO的な新しい発想ができれば、一気にいろいろなことが解決できるのではと思いました。
そこで、今回はその可能性を探るためにも、一度DAOの仕組みを整理してみたいと思います。
ただし、「DAO」はブロックチェーン上に作られるものですが、そのあたりの様々な技術のことから説明するのは難しいので、今回も「DAO」という組織の概念や組成を、従来の株式会社と比較しながら見ていきたいと思います。
「DAO」とは
まず、「DAO」は特定の組織名ではなく、「自律分散型組織」という組織の形態をさします。
Decentralized=分散型という意味ですが「非集中的」と捉えた方が意味的にはわかりやすいかもしれません。Autonomous=自律、Organization=組織となります。
DAOが作られる目的は、グループとして本質的な事業の運営が必要となるような、壮大な目標を掲げるものもあれば、特定の書物を買うためや、NFTアートの収集を目的としたもの、*DeFiを立ち上げるためなど、様々です。
*DeFi:Decentralized Finance「分散型金融」。ブロックチェーン上で構築できる金融サービスなどのアプリケーションで金融機関などのように中央で金融資産を管理する中央集権システムを必要としません。
どこに存在しているかというと、ブロックチェーン上に構築される組織です。
つまりネット空間にあるのですが、ネットワークにも色々あり、ブロックチェーンはサーバーなどを使わないP2P(ピアツーピア)というネットワーク方式を使用しています。
このP2Pは、LINEやSkypeなどにも利用されている技術です。
「Code is Law」
端的に「自律分散型組織」というのは、従来の会社や国家のように「特定の管理者がいる中央集権的な組織」とは異なり、「参加者全員に対して*スマートコントラクトなどを通じてアルゴリズムで共通のルールを当てはめて、そのルールによって自律的に管理される組織」がDAOです。
*スマートコントラクト:契約履行管理の自動化
*アルゴリズム:ある特定の問題を解いたり、課題を解決したりするための計算手順や処理手順
共通のルールというくだりには、「Code is Law」という概念があります。これは、あらかじめ違反などの特定の行動をプログラミングにより取れないようにする、いわば秩序がプログラミングされた空間というイメージです。
中央集権の場合、本来ルールを遵守させる側の管理者が逆にガバナンスをコントロールしてコンプライアンス違反を犯してしまう可能性があります。
DAOでは原理的にそういったことが起こらないようにその世界にプログラミングされているため、そもそも特定の人物の恣意が介入せず、またそのプログラミングのソースも誰でも見ることができるので透明度が高いという文脈です。
「DAO」と「株式会社」
それでは、ここで「DAO」と「株式会社」という
二つの組織を簡単に比べて見ましょう。
【管理者】
DAO:いない=プログラミング
株式会社:いる=社長
【組織内の主な関係性】
DAO:トークンでつながる互恵関係
株式会社:雇用関係
【メンバーの関係性】
DAO:フラット
株式会社:(多くの場合は)ピラミッド型
【報酬】
DAO:分散的=メンバー、利用者、協力者など報酬を得る機会が分散されている
株式会社:資本を出した人が独占する=株主
「株」と「ガバナンストークン」
こうして見ると正反対なようですが、似ているところもあります。
DAOの意思決定に関わるには「ガバナンストークン」を保有する必要があります。
ガバナンス(governance:統治、管理、支配)トークンとは、ユーザーをはじめとする関係者が投票するためのトークン(仮想通貨)です。
トークン保有者はDAOの組織運営に対する提案をしたり、意思決定に関わる投票に参加したりする権利を得られます。
これは、ちょうど株式会社の「株」や「株主総会」のようなイメージです。
議論される内容は、例えば「収益の使いみち」や、「他のブロックチェーンへの展開の提案」など、「Code is Law」だけでは対応できない問題を、投票などによってトークンの保有者全員で決めます。
GAFAへのカウンター
DAOは出資者だけでなく、運営者、利用者すべてが経済的な報酬を手に入れる仕組みです。
これは、これまでの時代と報酬のコンセプトが変わることになります。
例えば、これまでGAFAのようなプラットフォーマーは広告のクライアントから出稿料をとっていましたが、広告を見てくれたユーザーには「見てくれた代」を払っていませんでした。
これはあたり前のように聞こえますが、本来見てくれる人がいなければ価値が発生しないのが「広告」というビジネスであり、そういう意味では価値を共創するプラットフォーマーとユーザーは、その価値に対する報酬も共有することが妥当であるといえます。
インスタグラムにいい写真をアップしたり、フォロワーをたくさん増やしインフルエンサーになるなど、アプリの盛り上がりに貢献しても運営元のMeta社から報酬が払われることはありません。
あなたのおかげで広告を出したいと思って出稿した企業があったとしても、その広告収入は全てMeta社のものです。
しかし、DAOではユーザーとしてでも、組織に協力したり、いいアイデアを出すことなどで貢献することで、感謝として組織から報酬がもらえます。個人はそれをモチベーションとして、より一層そのサービスに貢献するようになります。
こうした、これまでの大企業による様々な形での報酬の独占に対するカウンターが、ブロックチェーンをはじめとする「自律分散型」を生みました。
まとめ 新しい報酬のコンセプト
このあたらしい報酬のコンセプトはリアルの世界にも応用可能ですので、近い将来現実社会にも波及してくると思います。
例えば、株式会社に変わってNFT式外社のようなトークンを使用した会社の出現の可能性はすでに言われていますので、DAO型の報酬コンセプトをもった組織が増えるかもしれません。
もしそうなれば、個人が一つの企業だけに所属して固定給で労働力として消費される時代から、個人が複数のDAOにつながり組織の意思決定に加わることで報酬を得ていくような、個の時代に変わっていく可能性があります。
もちろん、これまで企業が国に代わりおこなってきた社会福祉の面などもありますので、全面的に置き換わるべきだとは思いませんし、自助社会の促進にならないかなど、危惧する点もあります。
しかし、ひとつのアイデアとして、個人が搾取されない、参加者全員が報われるDAOの仕組みにとても興味があります。
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