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今日みなさんにお伝えしたいのは「商号と屋号」についてです。理由は、個人事業からはじめて、将来法人成りしようと思っている場合には、屋号をつける時にも注意が必要だからです。また、法人成りして商号をつける際にも屋号に固執したり、先のことを考えずそのまま屋号を商号にしてしまうとあとあとの事業活動にズレが生じてしまう可能性があるからです。
屋号は基本的に自由
スモールスタートアップでとりあえず個人事業主として起業し、事業がある程度大きくなったら法人化して会社を設立と考える方は多いと思います。
この場合に、個人事業主として利用していた屋号をそのまま法人名すなわち「商号」として使いたいことがあるとおもいます。
しかし、屋号が法的な権利・義務が基本的になく気軽に選定しやすい反面、商号についてはたくさんの制約があります。(ただし、会社でもないのに、会社であると誤認をするような名称をつけることは、会社法第7条で禁止されていますし、また銀行ではないのに銀行の名称を使用することは銀行法第6条で禁止されています。これらの違反には刑事罰が付されていますの注意が必要です。)
そのため、せっかくお客様や社会に認知された名前=屋号を、法人名=商号では使えなくなってしまうことがあるかもしれません。
商号には制約がある
では、商号の制約はどれくらい厳しいのかをご紹介します。
まず、前提として商号の中に「株式会社」を、合同会社を設立するのであれば「合同会社」を使います(会社法第6条第2項)。
次に、当然ですが、他の会社と誤認される恐れのある商号は利用禁止です。会社法第8条で不正の目的をもって他の会社であると誤認される恐れのある名称・商号を利用してはならないとしています。もちろん不正のつもりがなくても事前にリサーチしておいた方がいいですよね。
また、同一商号、同一本店の禁止(商業登記法第27条)というものがあります。これはあまり起こらないと思いますが、同じ住所に、同じ名前の法人を登記してはいけないと言うものです。
商号に使用可能な文字、不可能な文字
可能な文字
- ひらがな
- カタカナ
- 漢字
- ローマ字(大文字、小文字)
- アラビヤ数字(1 2 3 4 5など)
- 符号(&(アンパサンド)・(中点)‐(ハイフン),(カンマ)など)
「符号」は文字を区切る場合にのみ使用することができるそうです。また、ピリオドについてはローマ字の後ろに、その省略を表すものとして使用することができます。
<NG例>
株式会社&かまぼこ
株式会社ひもの.かまぼこ
株式会社-(カブシキカイシャハイフン)
また、「スペース」はローマ字で複数の単語を用いるときに、単語間においてのみ使用することができます。したがって、以下はNGです。
<NG例>
株式会社北条 パートナーズ
株式会社 北条パートナーズ
株式会社北条 アンド パートナーズ
不可能な文字
一定の単語は、その商号に使用することができません。
- ローマ数字(ⅰ、Ⅱ、ⅲなど)
- カッコ(「 」( )【 】など)
- 銀行、生命保険、信託などの文字
- 公序良俗に反する文字
- ○○営業所、○○支店などの文字
- 有名企業と全く同じ商号も使用しないほうがいいでしょう
<NG例>
株式会社小田原III
株式会社小田原(3号)
株式会社小田原錦通り支店
同一商号の判断基準
同一商号の判断基準は特に注意が必要です。次の例はそれぞれ別会社と判断されます。
- 「株式会社A」と「A株式会社」
- 「株式会社A」と「合同会社A」
- 「株式会社A」と「株式会社エー」
- 「株式会社日本」と「株式会社JAPAN」と「株式会社NIPPON」
しかし、表記が同じであれば読み方が異なっていても同一商号と判断されます。例えば、以下は同一商号となります。
- 「株式会社田中」(たなか、と読む)と「株式会社田中」(でんちゅう、と読む)
- 「株式会社京」(きょう、と読む)と「株式会社京」(けい、と読む)
以上のように、商号にはたくさんの制限があるため、いずれ法人化をすることを考えているのであれば、屋号の選定の際に先をきちんと考え慎重に行うようにしましょう。
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まとめ「商号をつける時がポイント」
しかし、起業の時点で完全に先を見通すことは難しいものです。
ですので、そういったときは屋号と商号を必ず合わせる必要はありませんので、逆に商号をつける際に、これからの事業計画をきちんと立てて、それに見合った商号をつければよいとおもいます。
例えば、個人事業ではじめた事業の場合は特定の業種をイメージさせる言葉が屋号に入っている場合が多いと思います。しかし、そのままそれを商号にしてしまうと、それ以外の事業がしづらくできなくなってしまいます。
例えば「ラーメンおだわら」という名前から法人化の際に「ラーメンおだわら株式会社」という商号にしたとします。しかし、今後の事業計画では食全般のコンサルタントもしたいと思っていた場合に、「ラーメン」とついていることでラーメン専門のコンサルと思われてしまったり、そもそもコンサルをやっていると思われなかったりと、商号が新規事業の邪魔をすることになってしまいます。
そういう場合には「ラーメン」という言葉をとってしまったり、また、屋号とは全く違ってもコンサル会社をイメージさせるものをつけると、規模感を演出できて相乗効果を得られることもあります。
また、ブランディングにおいても「商号」、つまり、ネーミングはブランドの芯を伝えるとても重要なものです。これに関しても、またの機会にご説明したいと思います。
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