デザイン思考という『言葉』のズレ

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今日は「デザイン思考という『言葉』のズレ」について書いてみたいと思います。なぜかというと、「経営者にもデザイン思考が必要だ」というのをよく目にするようになって大分たちますが、個人的には「デザイン」の意味が正しく伝わっていないとこれは大変なことになるぞ、とずっと心配していたからです。

おそらく、多くの人がデザイン思考という言葉に「創造的でクリエイティブ」な印象を思っているのではないかとおもうのですが、すでにその時点でズレがあると思うのです。

ここからは私の意見ですので、客観性情報ではないことをご理解の上、咀嚼していただければ幸いです。

クリエイティブは0から1を生み出すこと

「ZERO to ONE」。ピーター・ティールの本がベストセラーになったため、みなさんがイメージする「デザイン思考」は、このタイプが多いのではないでしょうか。創造的で独創的、ゼロからアイデアを生みだせるそんな魔法のような思考法。

しかし、残念なことに、実はデザインは0から何かを生み出すことはできません。というのも、デザインが発動するには「きっかけ」が必要で、例えば「ユーザーの悩み」といった解決すべき「前提条件」が必要だからです。

ですので、実はゼロベースで何か新しいものやことを生み出す時に、「デザイン思考」は使われません。無から生み出すことができるのはクリエイティブの領域です。

ここでいうクリエイティブとは、広告などの制作物としての「クリエイティブ」のことではありません。「クリエイティビティ」という、独創力や創造力のことです。

極めて「感覚的な領域」が広い思考のことで、一人で考えている段階では「思い込み」と言われてしまうこともあるかもしれません。しかし、それが共感性を持っていた場合に「0 to 1」となります。

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【起業でおすすめしたい本】

ピーター・ティールが、母校スタンフォード大学で行った起業の講義録ですので、読みやすく熱のこもった内容です。

デザインは100から1を見つけること

逆に、デザインは100から1を見つける作業です。

クライアントがデザイナーに依頼をするとき、そこには解決したい問題があります。デザイナーは、その困りごとを解決するために、その問題がどうして起きているのか仮説を立て、構造を構成要素に分解します。そして、どこが本質的な問題の原点になっているかを発見し、そこに対しての施策を考えます。

その解決策が、より鮮やかである方が費用対効果を大きくする傾向があるので、結果的にそのアウトプットされたものを指して「デザイン」と紹介されることが多いのですが、デザインの本質はこの100の事象の中から問題の原点である「1」を見つけ出すチカラのことなのです。

最終的なアウトプットのタイミングで、「手法として」クリエイティビティを使うことになるので、デザインとクリエイティブは混同されやすいのだと思いますが、デザイナーは流行りのデザインを作れることではなく、100から1を見抜く力があることが絶対の条件です。

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【100から1でおすすめしたい本】

経営者の方におすすめするデザイナーは、やはりまずは佐藤可士和さんだと思います。

イノベーションは0を発見すること

では、ついでに「イノベーション」とは何か。

僕が思うに「0から1を生みだす」のがクリエイティブで、「100から1を見つける」のがデザインなら、イノベーションとは「0」を発見することだと思います。

これは言うならば、あたらしい世界や、あたらしいルール自体を生みだし、さらにそこに多くの人々が集まるような新たな秩序です。

それを、ロジカルに体系化できた時、イノベーションが完成するのだと思います。

「デザイン思考」は「経営思考」と同じ

ですので、私が思うデザイン思考というのはそもそも経営者的思考であって、逆にデザイナーこそ「経営思考」に学ぶことが多いと思うのです。

例えばPDCAにしろ、OODAにしろ、現在の企業戦略や市場ニーズといった両者の適合性を確認するプロセスは、デザインをする時の考え方、つまり目的に向かって100から1を見つけ出すための仮説・検証に必要な考察と変わりません。

デザインの本質をおろそかにしないため、そしてなによりクライアントの利益を正しく理解するためにも、デザイナーにとって「経営思考」は必須だと思います。

セルフ・イノベーションのためのデザイナーの思考

では、わたしがデザイナーという視点から「デザイン思考」の代わりに経営者の方におすすめしたい事は何かと言うと、より発想に富んだ、魅力的でスケールの大きなPDCAやOODAを回すのに役立つ「インテリジェンスを仕入れる時間」です。

経営者に必要なセルフ・イノベーションの大きな要素は「固定観念をなくすこと」「自らの価値と個性を確立すること」「成長を実感しながらも、自分を超え続けること」です。

そう言う意味では、デザインや、クリエイティブについて正しく学ぶことは、大いに経営に役立つインテリジェンスだとおもいますので、ぜひデザイナーやクリエイターの本を読み、その「思考」に触れてみてください。

こねこの本棚

【起業におすすめの本】

「稼ぐコンサルタントの起業術 」
 富田 英太

コンサルタントの起業術とありますが、
どの業種の起業にも通じる
「ノウハウ」が満載です。
整理されているので実践しやすく
おすすめです。

【おすすめのデザイン本】

「世界一わかりやすい Illustrator 逆引き事典 CC対応 」

デザイナー以外のスタッフでもイラレを触れるように
デザイナーに先生役をお願いした際に
教科書がわりに選んで購入した本です。
デザインの内製化に興味のある方はぜひ!


【現在予約中の本】*レビュー投稿予定

「世界2.0 メタバースの歩き方と創り方 」
 2022/3/31発売

最近興味津々のメタバースの本を
予約しました。
読み終えたらこのブログでも
ご紹介したいと思います。


序 章 メタバースとは何か?
第一章 メタバースの衝撃
第二章 世界の創り方 I【視空間】
第三章 世界の創り方 II【生態系】
第四章 競争から創造の世紀へ
第五章 ポストメタバースの新世界
終章 世界の真実は自分の目で確かめるべき

【弊社が掲載された本】

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長嶺俊也 デザインこねこ株式会社取締役/クリエイティブディレクター/LOBBY ODAWARA オーナー兼ディレクター/神奈川県商工会連合会小規模支援強化事業コーディネーター