【サステナブルツーリズムと地域づくり】

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こんにちは!デザインこねこの長嶺喜和です。

日曜日と月曜日は、母が運営する絵画教室アトリエ・コネコの、「こどもクラス」の講師をしています。未就学児〜小学生の生徒さんに来ていただいています。金曜日、土曜日のこどもクラスは、生徒さんだった美大生が何人かお手伝いをしてくれていて、レッスンの様子を私に写真で送ってくれています。写真は、金曜日のクラスの様子です。金曜日は、中学生の生徒さんも来ていて、鉛筆デッサンも行なっています。

【サステナブルツーリズムと地域づくり】

「持続可能な観光」とは、国連世界観光機関(UNWTO)の定義によると、「訪問客、産業、環境、受入れ地域の需要に適合しつつ、現在と 未来の経済、社会、環境への影響に十分配慮した観光」とされています。1987年にUNWTOで「持続可能な発展の定義」ができてから、観光指標の開発をしていきました。

そして、記憶に新しい、2015年ニューヨーク国連本部で開催された「国連持続可能な開発サミット」にて、「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」が全会一致で採択されました。
その2030アジェンダの中で人間、地球、繁栄のための行動計画として掲げられた目標が、2030年までの達成を目指す「持続可能な開発目標(=SDGs)」です。

具体的にどのような取り組みがあるのでしょうか?
「持続可能な観光の実現」に向けた先進事例をご紹介します。

リピーターの確保
ファンクラブ制度を活用した観光客との継続的な関係構築
(新潟県佐渡市)

佐渡市では、観光客をはじめとした関係人口の確保を目指し、佐渡好きが集まるファンクラブ「さどまる倶楽部」を活用。島外在住者なら誰でも無料で登録でき、会員になると旅行中に利用 する船やタクシー、レンタカーが割引になるほか、島内の協賛店で旅行中に様々な サービスが受けられる。新型コロナウイルスの経済対策としては、地方創生臨時交付金を活用してだっちゃコイン(観光地域通貨)のポイント付与を行った。その結果、新規アプリ会員約14,000人を獲得し島内経済に好影響を及ぼした。

地域コミュニティとの共生・環境保全
アクティビティ中にごみ拾いタイムを設定
(熊本県阿蘇市)

阿蘇の大きな観光資源のひとつである「千年草原」。草原をマウンテンバイクで走るという人気アクティビティがある。そのアクティビティ中5分間だけ観光客にごみ拾いをしてもらうという活動を実施。当初は反発も予想されたものの、このごみ拾いを嫌がる参加者はいないとのこと。
むしろ「自分が旅行先の地域資源を生かすこと に貢献している」ということに賛同する参加者が多いという。

受入環境整備・誘客多角化
重度心身障害者の旅行促進に向けたリーフレット
(沖縄県)

重度心身障害者の団体旅行には多くの制限があり、宿泊施設側も受け入れ可能な施設が多くない。そのため沖縄県では、どのようなプランであれば重度心身障害者が定期的に沖縄観光を楽しむことができるかを調査し、課題、改善点等をヒアリン グし、リーフレットを作成した。

災害対応
災害時にキッチンカーを活用し加熱調理された安心・安全な食事を提供
(大阪府大東市)

東日本大震災発生後、避難所では菓子パン等の、非加熱食品を食されることが目立ち、電気・ガス 等のライフラインが機能しないことから、食材や冷凍食品が大量に廃棄されることとなった。こういったことを教訓とし、大阪府大東市は、多くのキッチンカーを保有・運用する株式会社エースケータリングと連携協定を締結。この協定により大東市では、災害発生時には、キッチンカーが避難所等に駆けつけ、加熱調理された温かい食事の炊き出し、提供が可能となった。 もちろんこの炊き出しの恩恵は、地域を訪問していた観光客も地域住民と同様に受けることができる。

いかがでしたでしょうか。

サステナブルツーリズムに関する取り組みは、今後さらに発展していくと思います。

オランダのオンライン旅行会社「ブッキングドットコム」がおこなった調査によると、「数年内にサステナブルな宿泊施設に一度は泊まる」と答えた人は、2016年が「62%」だったのに対し、2021年は「81%」と増加傾向を見せているそうです。世界の旅行者にとって「サステナブルであるかどうか」は、旅行先や旅行商品を選ぶ際の重要な要素になっているということです。サステナブルの課題に含まれている、「地域コミュニティとの共生」も大切な課題です。それには「シビックプライド」への理解が大切とされています。観光事業者だけでなく、暮らしている私たちも、誇りに思える都市を自分たちで作っていくことが「住んで良し、訪れて良し」の地域づくりに大切なのかなと思いました。

弊社でブランディングをさせていただいた、「江之浦リトリート凛門」様も、サステナブルな取り組みをしていらっしゃる宿泊施設です。

https://enoura-rimon.com/about/

ホームページも弊社で制作させていただきました。ぜひご覧ください。

長嶺 喜和|Nagamine Kiwa  facebook

デザインこねこ株式会社 代表取締役社長/クリエイティブディレクター/イラストレーター/デザイナー

1979年神奈川県小田原市生まれ。多摩美術大学情報デザイン学科(一期生)にて、インスタレーションアートを学ぶ。在学中よりウェディングアルバム制作会社の仕事の受託をはじめる。もっと様々なデザインをお客様と直接やりとりをしながらつくりたいという思いから2009年に「デザインこねこ」を創業。小田原地下街「ハルネ小田原」開業プロモーション受注を期に2016年に法人化。その後も、小田原城のリニューアル「小田原城 平成の大改修」のPR全般などをはじめ、小田原市の自治会情報誌「小田原回覧板系フリーマガジン おとなりさん」の発行(自社事業、季刊7万部発行 *現在休刊中)など、小田原市を中心とした西湘エリアにて「地域密着のデザイン会社」として展開を続ける。画家である母の影響で幼少より絵に親しみ、現在は母の主宰するアトリエ・コネコで子どもたちへ向け絵画の講師も行っている。