【動物を描くポスター 「LIFE」シリーズ 永井一正さん】

メールマガジン/バックナンバー

こんにちは!
デザインこねこの長嶺きわです。

先日、大阪へ行ってきました。子どもが行きたがっていたUSJにも行ったのですが、私が個人的に行きたかった、
四天王寺の骨董市(毎月21と22日に開催)と、新世界ジャンジャン横丁の三桂クラブ(将棋囲碁会所)へも行くことができました。それと絶対に食べてみたいと思っていた「肉吸い」は、事前に大阪に詳しいお客様にお聞きしていた、「千とせ」(肉吸い発祥のお店)で食べることができました!初めて食べた肉吸いは、牛丼のような甘さはなく、出汁の味!という感じで想像を超える美味しさでした。ジャンジャン横丁の三桂クラブはなんと、今月で80年の歴史に幕を閉じるそうで、開いている間に来ることができてよかったです。

制作事例のご紹介

今回は、ハインデ & ヴェレ 日本エージェントのCHOCOLATE ORANDA様の、ブランドサイトをご紹介しました。

制作内容:ホームページ

こちらからご紹介ページをご覧ください

CHOCOLATE ORANDA様は、オランダの“Bean to Bar”チョコレートブランド「Heinde & Verre」の日本エージェント企業です。今回、「Heinde & Verre」ジャパンサイトを制作するにあたり、オランダ本社のサイトとデザインのトンマナを合わせつつ、日本人に訴求するウェブサイトを意識して制作しました。

ぜひ、ご覧ください!

【一週間のAI / ITニュース】

6/19〜6/25までのAI / IT関連ニュースを一部、お知らせします。

6月19日
エヌビディアの時価総額が、マイクロソフトやアップルを抜き、初めて世界首位となりました。世界的なAIブームを追い風に、エヌビディアの高性能半導体の需要が急増しているためです。エヌビディアの時価総額は2023年5月に1兆ドルを超え、その約1年後の今月5日には3兆ドルの大台に達しました。3兆ドル超えは世界でもマイクロソフト、アップルを含む3社だけとなります。

動物を描くポスター「LIFE」シリーズ 永井一正さん

今回も前回に引き続き、日本デザイン界の重鎮である永井一正さんをご紹介します。

永井さんが思うデザインの本質

「宇宙の中から奇跡的に地球ができ、微生物が生まれ、そして生き物たちのひとつとして人間が誕生した。そこには何か宇宙の法則、摂理があり、それを『かたち』にしていくこと―それがデザインの仕事である」

永井さんが考える良質なデザインは、人間の五感、つまり視覚・触覚・嗅覚・味覚・聴覚が統合し、ある目的をもった「かたち」にしたものだそうです。これは、デザインをする側も、それを受ける側にも共通した感覚が自然に存在しているからだそうです。つまり、宇宙の中から奇跡的に地球ができ、微生物が生まれ、そして生き物たちのひとつとして人間が誕生しました。そこには何か宇宙の法則、摂理があり、それが地球の生態系としてあらゆる自然・生物に共通しています。それはとても神秘的で不思議で美しいということです。さらに、デザイナーはそれぞれ何かをデザインする時に、自然にすでに存在している法則をみつけ、それを「かたち」にしていくことを目指すべきということです。
コストや機能と同時に美しく魅力的でなければ、生き物と同じ「宇宙の摂理から生まれた結晶」とはいえないので、それぞれの役割を認識した上で、自然に共通した感覚を大切にしていきたいとおっしゃっています。

デザインとアートについて

永井さんはデザインとアートについて次のようにおっしゃっています。

「デザインは明快に示すことが大切です。つまり、「影」よりも「光」の部分を展開していくものなんです。僕ももちろんデザイナーですから光の部分を持っていますが、その一方で、影の部分を捉えたい、という思いがあるんです。
動物たちをテーマにした「LIFE」シリーズを創っているのは、そのためです。生きることの中には必ず光と影があるわけですから。
また、デザインは、「経済」「社会」「文化」の三本柱の上に成り立っていて、人によってその比重が異なるわけですが、今の僕は経済性よりも社会性と文化性、アートの方に重きを置きたいと思っています。アートには、人を揺り動かし、感動させる強さがありますから。」

「命」をテーマとしたポスター「LIFE」シリーズ

永井さんは約1,000点を超えるポスター作品を制作しています。1951年からグラフィックデザインをはじめ、抽象的で宇宙を感じさせる空間を表現した制作を続けることで自分のスタイルを追求していきましたが、1986年、それまでの幾何学的な表現から、フリーハンドによる具象に180度転換し、生き物たちを登場させました。これまでの自分の積み重ねを捨て去るぐらいの大きな決断だったそうです。以降、動物を描く「LIFE」シリーズは40年近く続くライフワークとなっています。

「LIFE」という、自己にとって、他者にとって、すべての生物にとって最も重要な「命」というテーマを突き詰めてきたのは、幼少のころから体が弱かった自分自身を鼓舞するためであり、命の不思議さに魅せられたからだそうです。また地球環境の悪化によって、いきものの生命が脅かされている現在、共生の大切さを感じてもらえばという願いを込めているそうです。動物たちは、リアルな姿としてではない生命の象徴として、自由にプリミティブに描くことで、生きることを直截(ちょくせつ)に訴えられないかと思い制作しているそうです。

70歳を過ぎてからエッチングを学んだり、常に変化をしている永井さんは、ピカソから勇気をもらっているそうです。 ピカソは決して自分に満足をせず、92歳で亡くなるまで、絵画だけでなく彫刻や陶芸など、さまざまなメディアで作品を制作し、常に創造的な革新を追求していました。永井さんも、自分の築き上げたものを崩して、新しいものに絶えず挑戦していき、常に挑戦者でありたいと思っているそうです。

原研哉さん「 LIFE と life 」永井一正と永井一史の二人展の、開催の際に寄稿した「生と宇宙と私」から印象的だった部分をご紹介します。
こちらから全文を読むことができます。

永井一正の毎年の成果を、息をのみつつ、おそるおそる見守っている。生と宇宙の深淵を見つめる感覚はますます研ぎ澄まされ、その仕事は毎年、間違いなくその到達点の標高を上げている。

永井一正の作品を見ていると、この誤謬から解き放たれていくように感じる。「生」は「私」を離れてむしろ「生」同士が連鎖共鳴しており、その連鎖の果てに宇宙と呼ぶべきものの本当の広がりが感じられてくるのである。

宇宙は、生成することと朽ちること、生と死が渦巻く大きなエネルギーの総体であるが、そこには確固としたリズムがある。一方で「私」を起動させる「生」の中にも同じく小さな宇宙がありリズムがある。宇宙から私の生へと打ち寄せてくる波を感じつつ、私の生から宇宙へと打ち返す波をも感じる。そんな私と宇宙の波打ち際で、永井一正が見ている光景が一連の作品であろう。

いかがでしたでしょうか?
永井さんの「LIFE」シリーズで描かれている動物は、ふわふわと可愛いもの、バキッとした形にデフォルメされているもの、古代の壁画を感じさせるようなものなど、様々です。目がまん丸でこちらをみていて、ハッとさせられたり、風景の中に溶け込んでいて可愛かったり。受け取る印象もまた、作品により様々です。その様々な感じを、私たち奇跡の生命体同士が、共有できるという宇宙の不思議さについて、突き詰めて考えてみると、本当に奇跡の連続で、今私たちはここにいるんだなと思ってしまいました。永井さんが常に新たな挑戦を続け、変化し続ける姿勢は、私にとっても大きなインスピレーションとなっています!

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長嶺 喜和|Nagamine Kiwa  facebook

デザインこねこ株式会社 代表取締役社長/クリエイティブディレクター/イラストレーター/デザイナー

1979年神奈川県小田原市生まれ。多摩美術大学情報デザイン学科(一期生)にて、インスタレーションアートを学ぶ。在学中よりウェディングアルバム制作会社の仕事の受託をはじめる。もっと様々なデザインをお客様と直接やりとりをしながらつくりたいという思いから2009年に「デザインこねこ」を創業。小田原地下街「ハルネ小田原」開業プロモーション受注を期に2016年に法人化。その後も、小田原城のリニューアル「小田原城 平成の大改修」のPR全般などをはじめ、小田原市の自治会情報誌「小田原回覧板系フリーマガジン おとなりさん」の発行(自社事業、季刊7万部発行 *現在休刊中)など、小田原市を中心とした西湘エリアにて「地域密着のデザイン会社」として展開を続ける。画家である母の影響で幼少より絵に親しみ、現在は母の主宰するアトリエ・コネコで子どもたちへ向け絵画の講師も行っている。