変化を受け入れるは、「攻め」の言葉

先日テレビでコメントされていた
日本M&Aセンターの代表取締役三宅卓さんのお話。

https://zuuonline.com/archives/217225

今回のCOVID-19のような
世界的危機に経営者はどう備えれば
良いかという問いに、

・一本足打法からの脱却
・エリア分散
・販売ルートの多様化
・サプライチェーンの確保

をあげています。

この4点を自社に置き換えみると
色々と整理されます。
私もデザインこねこに置き換えて
考えてみました。

【一本足打法からの脱却】

デザインこねこはクライアントから
発注を受けデザインの制作を行う
オーソドックスなデザイン事務所でありながら、
「LOBBY」という地域のことを紹介する
場所としてのメディアをもち、
地域の商品の販売も行っています。

デザイン事務所がB to B、
LOBBYは、B to C 事業です。

LOBBYをはじめる際の判断としては
経営の上のリスクヘッジという意味合いは
とても大きかったです。

もちろん小売事業の体制は
社内にはなく、一から作るのは
容易ではありませんでしたが、
開店一周年を迎えた際には
まだ細い若木ながら、
まさに先行きの見えないコロナ下で
希望の象徴のような心の拠り所になり、
やはりやっていてよかったと思いました。

【エリアの分散】

デザインこねこのお客様は
約9割が小田原市内のお客様、
残りが秦野市まで含めた近隣2市8町
プラス東京のクライアントという
構成になっています。

コロナ下で感じたことは、
地域の経済が比較的地元で回っている場所は
まだそこまでダメージが大きくなかったと思います。
人の動きがなくなっとはいえ、
同じエリアにお客様がいらっしゃるわけですから。

しかし、東京などの大都市や、
箱根のような観光地ではそうはいきません。

日々大量に通勤するサラリーマンや学生、
団体で移動する大量の外国人観光客が
まったく来なくなってしまうというのは
想像するだけでも恐ろしいことです。

しかも、まさかその景色を、
現実に目の当たりにすることになるとは。
今回のコロナで一番深刻だったのが、
この「移動制限」だったと思います。

ですので、デザインこねこのような事業規模であれば
今回のコロナ下でエリアの分散は意味を持ちませんが、
大きな企業さんではそれぞれの支店、支社が屋台骨を支える
ということがあったかもしれません。

また、働く人間も会社に来れないというのは、
経営側としてはほぼ想定できないことだったのではないでしょうか。
弊社も全員完全リモートワークの期間が
約半年はあったでしょうか。

そんな中、あらたにそのリモート期間を利用して
拠点の拡大も行いました。

うちは私と妻を含めデザイナーが
6人いるのですが、実はそのうちの半分、
3人が秦野市在住です。

そこで、それなら秦野のお客様とのお仕事を
増やして行こうと、
秦野市役所の近くにお客様と打ち合わせができるような
コワーキングスペースを借りることにしました。

サテライトオフィスと言うほどではありませんが、
新しい拠点作りの一歩です。

秦野市での案件の比重が小田原市のお客様の数に
迫ってくるようなことがあれば、
これがまた違う困難を救う
「エリアの分散」ということになるかもしれません。

【販売ルートの多様化】

コロナ下になり、やはりデザインこねこでも
オンラインでの販売ルートの開拓に
力を入れています。

LOBBYの方のオンラインショップの
販売はもちろんですが、
デザイン制作事業の方でも、
ホームページからのお問い合わせや、
受注、その後の進行に至るまで
オンラインを介してというカタチが
急激に増えてきました。

これは、地域密着でやってきた
デザインこねこにとっては新たな可能性で、
これまでの常識やエリアに囚われない、
オンラインを活用した
さらなる販売ルートの多様化を
考えています。

【サプライチェーンの確保】

デザイン制作の場合、流通というのは
あまり関係ありませんが、類似で言うと
建築や、看板、コーディングなど、
様々な製作協力会社の影響を受けることは
あり得ますので、常に数社と取引をし、
リスクヘッジをしていくことは大切です。

クオリティと価格、仕事の進めやすさの相性などの
バランスだと思いますが、
そういったところはむしろ現場の人間の方が嗅覚に優れており、
割とスタッフが見つけてきてくれることが
多いのが現状です。

LOBBYの方では、新たな販路開拓のために、
自社のオリジナル商品を増やす準備をしています。

本来、自社製品はイニシャルコストがかかるのと、
在庫を抱えることになるので
慎重に考えていたのですが、
コロナになり、これも新たなリスクの分散のために
必要なコストだと考えるようになりました。

こうして、三宅さんの4項目で整理してみると、
必要なコストをかけた分というのは、
平時にはわかりにくいが、
やはり非常事態になった時には、
自分達をたすける力になっているという
実感がありました。

デザインこねこも創業が2009年ですから
その間に東日本大震災があり、
リーマンショックがあり、
今回の新型コロナがありと、
大きな環境の変化がありました。

三宅さんの「変化を受け入れる」という言葉を、
受け身ではなく、立ち向かっていくという意味の
「攻め」の言葉と捉えると、
M&Aだけではなく、withコロナを追い風に変える
色々な方法があると、
気づくことができると思います。

デザインこねこも、5月に事務所を一つ解約したり、
色々なコストを見直し、削りながら備えてきました。

経営者としては、
お客様の利益と、従業員を守るために、
常日頃から、臆病なほど慎重であるべきだと
思っています。

ただ、守りと攻めは
どちらかをしている時には
どちらかはできないというものでもないので、
「守りながら、攻める」というのも可能です。

経営者として守るべきところは
臆病すぎるほどに備えて守りながら、
攻められるところを常に探し、
チャンスを見逃さないようにしていきたいと
考えています。

今、実はとても楽しみなことを仕込んでいます。
来年の3月には、新オフィスと一緒にHPなども一新し、
新しいデザインこねこの姿を
皆さんにお見せできると思います。

コロナの成り行きも心配ですが、
きちんと状況を観察し、対策を怠らずに、
その準備を楽しみたいと思っています。