【日本発のお菓子ブランドAUDREYブランディングデザインユニット KIGI】

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こんにちは!
デザインこねこの長嶺きわです。

まだ梅雨明けをしていないのに、すごい暑さですよね。小田原も40度近くまで気温が上がって危険を感じます。忘れがちな水分補給をこまめにとるようにして気をつけたいと思います!

写真は、市民農園で取れた野菜パスタ(オレガノの花がのっています)と、先日、久野のゆぅーゆぅ亭さんで食べたランチです。ラーメンも餃子も美味しかったです!

制作事例のご紹介

今回は、湯河原のきび餅が有名な老舗のお菓子屋さん、ゑふや様のきび餅の個装パッケージデザインをご紹介しました。

制作内容:個装パッケージ(シール)

こちらからご紹介ページをご覧ください

湯河原の旅館で、お着き用のお菓子に採用されている、ゑふや様のきび餅。今回、その個装用のパッケージデザインを一新いたしました。
ゑふや様で昔使っていた包装紙をスキャンし、パッケージ用にリデザインしました。包装紙は、かつて湯河原にあった温泉旅館の養浩荘に泊まりに来ていた、米粒作家の大林天洞斎さんが描かれた作品を使用しているとのことです。
ぜひご覧ください!

【一週間のAI / ITニュース】

7/3〜7/9までのAI / IT関連ニュースを一部、お知らせします。

7月8日
国内の主要12の学会連合会が、国の科学研究費助成事業を現状の2倍に増額するよう政府に求める署名活動を開始したと発表しました。
国立大に対する運営費交付金の減少や物価高などの影響で、研究者に渡る科研費は大きく目減りし、日本の研究力の低下を招いていると訴えました。科研費は、先進的な研究に対し、審査を経て配分する競争的研究費の一つ。学会連合によると、交付額は毎年度2400億円前後と横ばいで推移する一方、国立大に対する運営費交付金の減少科研費に応募する研究者が増え、1研究あたりの配分額が減りました。科研費は、青色発光ダイオード(LED)やiPS細胞(人工多能性幹細胞)など、後にノーベル賞につながった革新技術の研究初期を支えています。

日本発のお菓子ブランド AUDREYブランディング デザインユニット KIGI

本日は、2012年にドラフト(クリエイティブディレクター宮田識さんが代表を務めるデザイン制作会社)から独立した、植原亮輔氏(1972年・北海道生まれ)と渡邉良重氏(1961年・山口県生まれ)によるデザインユニット「KIGI(キギ)」をご紹介します。

植原さんと渡邉さんは、ドラフトに所属していた時から、ワコールの「ウンナナクール」、「PASS THE BATON」、ドラフトのオリジナルブランド「D-BROS」など、多くのプロジェクトで一緒に仕事をしていました。
2012年にドラフトの代表である宮田さんが、「DRAFT CREATIVE FRANCHISE SYSTEM」と銘打ち、第一線で活躍するアートディレクターたちの独立支援を行った際に、植原さんと渡邉さんはデザインユニットとして「株式会社キギ」をスタートしました。(現在の社名は「キギと創造株式会社」になります。)

KIGIの代表的な仕事

・琵琶湖周辺の職人たちとオリジナルブランド「KIKOF」
・ファッションブランド「CACUMA」
・洋菓子ブランド「AUDREY」
・洋菓子ブランド「Tartine」
・沖縄県産にこだわったブランド「琉Q」
・JINS_2016〜2020

 

琵琶湖周辺の職人たちとのオリジナルブランド
「KIKOF」について

「KIKOF」の立ち上げは、以前講演で一緒になった立命館大学の佐藤典司先生がきっかけでした。2012年頃の都道府県のブランド力調査で、滋賀県がワースト1位になり、その結果を嘆いた県の職員が、経営やデザインを専門にしていた佐藤先生に相談したことから始まりました。KIGIはちょうどその時、独立の準備をしているところで、2人で相談し、KIGIの初仕事にすることを決めました。

通常は、まずアイデアがあって、それを具現化できる業者を探すというやり方をしていたのですが、「KIKOF」の場合は、職人も技術も決まっているところからのスタートとなり、最初はうまくできるか不安だったそうです。ただ、陶器、木工、麻、ちりめん、漆、仏壇をつくれる方たちがいて、色々な技術があるから面白そうだとも思ったそうです。ちょうどKIGIとしての大きな展覧会が控えていた時期でもあり、プレゼンまでに1年半ほどかかってしまったのですが、その間に滋賀のことや職人についての理解を深め、様々なアイデアを考えました。

最初のプレゼンでは、さまざまな職人さんがいたので、みんなが満足できるようなプロダクトセットを提案したそうです。異なる3種類の素材で器をつくり、ちりめんの風呂敷で包んだセットでした。プレゼンの時は盛り上がったのですが、帰りの新幹線で2人で話し合い、「もしかしたらちょっと違うかも」「これ本当に売れるのかな」という思いが出てきてしまったそうです。

デザインのイメージだけ伝えて、職人さんに「あとはよろしく」というスタンスは良くないなという思いもあり、もしこれが売れなかったら、1回きりで終わってしまうんじゃないかと不安に思ったそうです。

デザインは良いものをつくっても、売ることをほったらかしにすることは無責任だなと思い、職人さんたちと地道にコツコツつくり続けていくことが重要なんじゃないか。そもそも、滋賀県のブランド力を上げたいという思いのもとでこのプロジェクトが始まったんじゃないか。という、アートディレクターとして何をするのか?というところに立ち戻ったそうです。

デザインの仕事というのは、クライアントの問題解決というのがまず前提としてあり、その後に表現が出てくるものなのですが、「KIKOF」の場合は、途中から参加したことで、滋賀県のブランド力がワースト1であることや、良い職人さんたちがいるのに技術が継承されず、後進が育っていかないという問題に対する解決策が、最初の提案には入っていなかったのです。その後、器から作りましょう、と改めて提案をしたそうです。

そして、売ることについても、KIGIは関わります。「KIKOF」の仕事については、KIGIはデザイン費をもらってなく、一緒にブランドをつくって運営していくという方法を取り、お金のこともすべてオープンにして、お互いの役割を分担していくというやり方を、今も続けているそうです。

「KIKOF」のプロダクトをいざ売ろうとした時に、責任を持って売ってくれるお店がどれくらいあるんだろうと考えてみた結果、そんなにないんじゃないかと思い至ったそうです。また「KIKOF」の器を支えているテクニックや職人さんたちの努力を、お店の人たちがお客さんに伝えるのは難しいということもあり、OUR FAVOURITE SHOPというギャラリー&ショップをオープンすることになったそうです。OUR FAVOURITE SHOPでは「KIKOF」を始め、ドラフトのD-BROS渡邉さんとほぼ日の洋服ブランドCACUMAなども取り扱いしています。渡邉さんはこのような関わり方について、以前所属していたドラフトの宮田識さんの影響が大きいと話していました。

宮田さんは1995年に自社ブランドとして「D-BROS」を始めたのですが、新しいことで稼ぐということは簡単ではなかったそうです。でも、宮田さんは一度やめてしまったらすべてなくなってしまうけど、続けていれば何かが生まれることもあると、絶対にすぐにはやめない粘り強さがあるそうです。そういう姿勢をKIGIも受け継いでいるのだそうです。
 

クライアントワークとプライベートワーク

KIGIの仕事内容としては、クライアントワークとプライベートワークの比率がだいたい半分くらいなのだそうです。

クライアントワークは多くの人たちとのあいだで最大公約数を見つける難しい作業で、プライベートワークは、理想の想いを形にするとか、何をやっても良いとても自由なものだそうです。野球で例えると、プライベートワークはいわば「練習」みたいなもので、それに対して、社会を相手にしているクライアントワークは本番の「試合」なのだそうです。ただ、自分たちでブランドやお店をつくる場合も、そこにも工場や営業の方々の力が不可欠なので、結局どちらも一人称以上の人たちを巻き込んでいくのがデザイナーの仕事なのだそうです。

KIGIという名前の由来

「キギ=木々」という名前は、植原さんと渡邉さんの二人で始めた会社という意味と、クリエイションを一本の「木」に例え、一つ一つ丁寧に育ててやがて森にしていきたいという思いが込められています。クリエイションを木に例えると、木の根っこがいろいろな養分や水分を吸収してひとつの幹というコンセプトになり、地面から社会に出て枝に分かれ、実になってユーザーに届けるというイメージです。

植原さんは以下のように説明しています。

まず、地面から下をブランドの思想哲学とし、地面から上を社会とした時に、地上では幹が伸び、枝葉に分かれて、実や花ができます。土の中には、養分や水分などの栄養がたくさんあり、養分や水分を「知識」「教養」「テクニック」「想い」と例えてみます。これらを吸い上げるために根が伸びます。これは、好奇心や探究心を表しています。ブランドがしっかりと大地に根を張る準備をすると、吸い上げた養分が集まって幹となり、ひとつのコンセプトとして社会に出ていきます。

さらに幹は成長し、枝葉に分かれて実や花が咲きます。これが商品です。
枝葉は商品を支える要素であり、空間デザイン、グラフィックイメージ、商品生産システムなどが含まれます。
雨風が吹きつけ、光が差し込みます。これは社会からの評価を示しています。批判もあれば賞賛もあります。

植木職人たちがいます。
アートディレクター、コピーライター、ブランド担当者たちがチームを組み、外気や根、土の状態を見ながら木が大きくまっすぐ育つように管理します。

お猿さんがいます。
これは、ブランドが初めて社会に出て行く際に、この実が美味しいことを伝える役割です。アートディレクターやコピーライターが絵や言葉でわかりやすく説明します。

鳥がいます。
鳥は遠くのお猿さんに情報を伝えます。これはDMや広告の役割です。

このように、ひとつの良い循環が生まれると、株分けして木を増やします。これは、ブランドの支店や、同じコンセプトで表現が異なる兄弟ブランドを意味します。木々は、2本以上の木という意味のため、無限に増やすことができるということも、大きな森にしていきたいという気持ちが込められています。

いかがでしたでしょうか?
デザインユニット「KIGI(キギ)」をご紹介しました。

植原さんと渡邉さんの2人は、キャッチボールのように、どちらかが途中までデザインをして、手詰まり感が出てきたら 「ねえ、ちょっとやってみる?」交代しながらデザインを制作することもあるそうです。

ブランディングやタイポグラフィが得意な植原さんと、イラストや、そこから広がる全体的なクリエイティブが得意な渡邉さん、2人が自然に役割分担をしていて、核心を追求する主観と、全体を俯瞰して捉える客観のバランスが取れていると思いました。

デザインの確認や修正のやりとりについて、今後LINEを主に使用していこうと思っております。
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長嶺 喜和|Nagamine Kiwa  facebook

デザインこねこ株式会社 代表取締役社長/クリエイティブディレクター/イラストレーター/デザイナー

1979年神奈川県小田原市生まれ。多摩美術大学情報デザイン学科(一期生)にて、インスタレーションアートを学ぶ。在学中よりウェディングアルバム制作会社の仕事の受託をはじめる。もっと様々なデザインをお客様と直接やりとりをしながらつくりたいという思いから2009年に「デザインこねこ」を創業。小田原地下街「ハルネ小田原」開業プロモーション受注を期に2016年に法人化。その後も、小田原城のリニューアル「小田原城 平成の大改修」のPR全般などをはじめ、小田原市の自治会情報誌「小田原回覧板系フリーマガジン おとなりさん」の発行(自社事業、季刊7万部発行 *現在休刊中)など、小田原市を中心とした西湘エリアにて「地域密着のデザイン会社」として展開を続ける。画家である母の影響で幼少より絵に親しみ、現在は母の主宰するアトリエ・コネコで子どもたちへ向け絵画の講師も行っている。