【サントリー「伊右衛門」 アートディレクター 永井一史さん】

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こんにちは!
デザインこねこの長嶺きわです。

先日、打ち合わせ後に、久しぶりに尊徳記念館の近くにある喫茶店「エプーゼ」さんでお昼を食べました。トーストセット(ツナ)を注文したところ、トーストしたパンにツナサラダが挟んであり、サラダもついていて、ボリュームもあり、とても美味しかったです!

7/1は18年目の結婚記念日でした。前日の日曜日に家族で近所にある、イタリアンの「Trattoria Aquilone(トラットリアアクイローネ)」さんへ行ってきました。初めて行ったのですが、ボロネーゼやサラダのバーニャカウダ、お肉もとてもおいしかったです。また行きたいです!

制作事例のご紹介

今回は県西福祉会さんが運営するお菓子屋さん、ふくらん様のチラシをご紹介しました。

制作内容:A4チラシ

こちらからご紹介ページをご覧ください

ふくらん様は、今年で11年目を迎えます。その記念セール用のチラシのデザインをさせていただきました。近隣へのポスティングも弊社で提案させていただきました!

おもて面は、赤と白で晴れの日のイメージで制作し、裏面は、弊社で制作したパンフレットのトーン&マナーを踏襲し、統一感を持たせました。可愛らしくて美味しいふくらん様のイメージをより一層際立たせるデザインを目指しました。

セールは7/13(土)〜15(月)の10時〜17時です。お得なセットや、限定販売もありますので、ぜひお出かけください!

【一週間のAI / ITニュース】

6/26〜7/2までのAI / IT関連ニュースを一部、お知らせします。

7月2日

防衛省はAIの活用を防衛分野で進めるための基本方針を初めて策定し、発表しました。「指揮統制」など七つの重点分野を設定し、複雑な作戦の意思決定への支援を例として示しました。一方で「人間による関与」の必要性も記し、AI活用に歯止めをかけました。AI活用によるレーダーの航跡や衛星画像に基づく攻撃目標の識別、インターネット上の膨大な情報の分析や、指揮官の素早い意思決定を支援することなどを想定しています。

サントリー「伊右衛門」 アートディレクター 永井一史さん

今回は、前回ご紹介した永井一正さんの息子であり、日本を代表するクリエイティブディレクター/アートディレクターである永井一史さんをご紹介いたします。

永井一史さんは1961年生まれの62歳です。1985年に多摩美術大学デザイン学科を卒業し、博報堂に入社しました。
2003年には博報堂の子会社として、デザインによるブランディングを専門とする株式会社HAKUHODO DESIGNを設立しました。2007年には、デザインを通じて社会的課題の解決に取り組む「+designプロジェクト」を主宰し、2008年から2011年にかけて雑誌『広告』の編集長を務めました。2014年には多摩美術大学に新設された統合デザイン学科の教授に就任しました。

主な作品のご紹介

  • ヘルプマーク
  • サントリー伊右衛門
  • トヨタ「LEXUS」
  • 資生堂企業広告(一瞬も一生も美しく)
  • 日本郵政民営化キャンペーン
  • REGAL

ブランディングについて

1997年から1998年頃にかけて、日本に「ブランディング」という考え方が欧米から導入されました。
当時、「ブランド」という概念がまず先に導入されたのですが、企業は「ブランド」をどのように扱えば良いのか理解できていませんでした。企業価値が重要であることは認識されていましたが、具体的な方法がわからなかったため、博報堂でブランド作りの業務を始めたそうです。

博報堂内でもブランドのコンサルティングやマーケティングの専門家が集められ、組織されましたが、博報堂の社長の「コンサルティングやマーケティングの専門家だけでなく、デザイナーを必ず入れること」という指示により、永井さんも新たに設立された博報堂ブランドコンサルティングにアサインされました。

博報堂ブランドコンサルティングでは、「この商品や企業の価値とは何か」をクライアントと共にじっくり時間をかけて考える作業を行いました。そして、見えてきた骨格の上にコミュニケーションを構築するという方法が非常に新鮮で、大きな意味で「これこそがデザインだ」と感じたそうです。

ブランドを考えるということは、消費者から見たその商品や企業の価値や意味を突き詰めることです。その時、永井さんは、どんな商品でも最終的には「誰かの生活を良くしたり、喜びをもたらしたり、皆の幸せを追求するためのもの」であると気づきました。

その後、永井さんは2003年にブランディング専門会社の株式会社HAKUHODO DESIGNを設立しました。東京都は2020年の東京オリンピックに向けて、2014年に「世界一の都市・東京」の実現を目指し、今後10年間の具体的な工程表として「東京都長期ビジョン」を策定しました。その際、東京ブランドのデザインを監修するクリエイティブディレクターとして、永井さんが選ばれました。

デザインに関する考え方

かつてのアーツ・アンド・クラフツ運動の時代から、デザインの目指すところは「皆が幸せになること」です。永井さんは、デザインの目的は昔から変わっていないが、その守備範囲は広がっていると感じています。

例えば、永井さんが2015年から2017年に審査委員長を務めたグッドデザイン賞でQRコードが受賞した際、それまでであればQRコードがグッドデザインとされることに疑問を感じるかもしれません。しかし、糖尿病患者向けの痛くない注射針がグッドデザイン賞を受賞するなど、デザインが見た目だけでなく、機能的・社会的な意味で評価される時代になっているのです。

2018年に経産省・特許庁が発表した「デザイン経営」宣言では、「デザイン」という言葉は、色や形の美しさだけでなく、企業が大切にしている価値や、それを実現しようとする意志を表現する営み全体を指しています。

経済産業省・特許庁の「産業競争力とデザインを考える研究会」の委員を務めていた永井さんは、デザイン経営は事業を再構築する際にヒントや指針となるものであると考えています。

デザインの方法やアウトプットの形は時代や流行に応じて変化しますが、「美と調和を大事にする」「創造性を大事にする」といったデザインの基本的な部分は、世の中がどんな状況であっても変わることはありません。ブランディングとは「思いをカタチにすること」です。「思い」にあたる部分が、「パーパス」という言葉で世の中の共通認識となってきました。デザイン経営の中心にあり、組織の指針となるものは間違いなくパーパスです。「パーパス=求心力を持って組織の向かうべき方向を指し示すもの」を中心に据え、それを基点とした組織文化を生み出し、新たな価値を創造し続ける経営手法、それがデザイン経営なのです。

永井さんは、ブランディングの仕事を始めた時、戦略コンサルタントと一緒に事業やブランド・ストラクチャーを考える際、デザイナーとして何ができるのか疑問に思ったそうです。しかし、実際にやってみると、コンサルタントにはない視点をデザイナーは持っていることがわかりました。コンサルタントはコアコンピタンス(他社にはない強み)の観点からブランドや事業を定義しますが、デザイナーはより広い視点で考えます。事業の対象者だけでなく、社会や地球全体を視野に入れ、提供者側の論理ではなく、あくまで「人々にとっての価値」から考えるのがデザイナーのデザインの考え方です。


 

いかがでしたでしょうか。
今回は、クリエイティブディレクター/アートディレクターの永井一史さんをご紹介しました。(永井一史さんは博報堂出身のため、肩書きをアートディレクターとしています。広告出身のデザイナーは、グラフィックデザイナーではなくアートディレクターと表記することが多いそうです。)

永井さんによると、デザインは特殊技能ではなく、思考法として習得できるとのことです。変化の時代の舵取りに必要なのは以下の3つです。

フィール 
感じ取る力
のことです。何かを生み出す時には、まず現状を疑って問題意識を持ち、センサーを働かせ、物事を多面的に観察し、普通なら見落とすようなことを感じ取ることから始まります。多くのビジネスパーソンは、こういった気づきを得ても業務効率化の観点から無意識に感性を抑制してしまいます。しかし、そこに蓋をせず、自分が感じていることやお客さんが感じているであろうことなど、数字や論理だけではない世界をしっかりと感じ取ることが重要です。

イマジン
まだ存在しないものを頭の中で組み立てる想像力のことです。例えば、新しい製品やサービスを作る際、初めて受け取る人がどう感じるか、どのように使われるかなどを想像し、実装前に頭の中で具体的な形として組み立ててみます。さらに頭の中でそれを様々な角度から眺め、使われる状況をリアルに描くイマジネーションの能力を指します。

クリエイト
実際に形にする力
です。何かを生み出し、それを世の中に出すという行為はとても勇気が要ることですが、形にすることで理解は深まり、また次の形の構想へとつながっていきます。

デザインの領域が広がっていっていること、確かにそう思いました。私も、感覚を大切にしながら、大きな世の中の流れを感じ取っていきたいなと思いました。

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長嶺 喜和|Nagamine Kiwa  facebook

デザインこねこ株式会社 代表取締役社長/クリエイティブディレクター/イラストレーター/デザイナー

1979年神奈川県小田原市生まれ。多摩美術大学情報デザイン学科(一期生)にて、インスタレーションアートを学ぶ。在学中よりウェディングアルバム制作会社の仕事の受託をはじめる。もっと様々なデザインをお客様と直接やりとりをしながらつくりたいという思いから2009年に「デザインこねこ」を創業。小田原地下街「ハルネ小田原」開業プロモーション受注を期に2016年に法人化。その後も、小田原城のリニューアル「小田原城 平成の大改修」のPR全般などをはじめ、小田原市の自治会情報誌「小田原回覧板系フリーマガジン おとなりさん」の発行(自社事業、季刊7万部発行 *現在休刊中)など、小田原市を中心とした西湘エリアにて「地域密着のデザイン会社」として展開を続ける。画家である母の影響で幼少より絵に親しみ、現在は母の主宰するアトリエ・コネコで子どもたちへ向け絵画の講師も行っている。